【Vue.js】Mixinを使うのはもうやめよう
禁止まで言ってしまうとなんだか強い言葉のように聞こえてしまいますが、mixinは基本的にあまり良いアプローチとは考えられません。 実際に、Reactにも過去にはMixinが存在していましたが現在は廃止されています。
mixin禁止
禁止まで言ってしまうとなんだか強い言葉のように聞こえてしまいますが、mixin は基本的にあまり良いアプローチとは考えられません。
実際に、React にも過去には Mixin が存在していましたが現在は廃止されています。
主な mixin の問題のある点として以下の点が挙げられます。
- 名前の競合
- 暗黙的挙動のため認知不可が高い
- コンポーネントと mixin で互いに依存が生まれる
- (Options API の場合には)TypeScript の恩恵を受けられない
名前の競合
ここで問題ですが、mixinA・mixinB・mixin を利用するコンポーネントの 3 つにそれぞれ同じ名前のメソッドが定義されている場合、そのメソッドを呼出したときの挙動はどのようになるでしょうか?
// mixins/mixinA.ts
export const mixinA = {
methods: {
hoge() {
console.log("mixinA");
},
},
};
// mixins/mixinB.ts
export const mixinB = {
methods: {
hoge() {
console.log("mixinB");
},
},
};
import { mixinA } from "@/mixins/mixinA";
import { mixinB } from "@/mixins/mixinB";
import Vue from "vue";
export default Vue.extend({
mixins: [mixinA, mixinB],
created() {
this.hoge();
},
methods: {
hoge() {
console.log('component')
}
}
});
正解はコンポーネントの mixin のみが呼ばれるのですが、自信を持って回答できたほうは少ないかと思います。 コンポーネントに定義された名前がもっとも優先され、mixin 同士では後から読み込んだ mixin(この例だと mixinB)が優先されます。
mixin における名前が競合しても誰も教えてくれないので、名前が競合したときの動作を知らないと、思わぬ事故に繋がりかねないです。
mixin のメソッドは ○○able
のように命名規則ルールとして決めるといった方法もありますが、あくまでルールの話なので完全に回避できるわけではありません。
mixin を使用しているコンポーネントを実装しているときには常にmixinと名前が競合していないか考慮しながらコードを書かなければいけません。
これは、mixin のコードを書いているときも同様です。mixin のコードを変更するときには、mixin が使われているコンポーネントをすべて知らべて名前が競合していないか確かめる必要があります。
暗黙的挙動のため認知不可が高い
mixin が使われているコンポーネントのソースを読むのは辛いってお話です。
mixin を使っている場合には this
に対してメソッドやらプロパティが暗黙的に生えていきます。
コードを読むときは順に処理を追っていくと思うのですが、その途中でコンポーネントに定義されていないメソッドが出てきた「あれ・・・?」となるわけです。
しばらく考えてようやく mixin によって定義されたメソッドだと気づくわけなのですが、これまた複数の mixin を読み込んでいるコンポーネントに出会ったらどちらの mixin に定義されているのか探しに行かなければならないです。
コンポーネントとmixinで互いに依存が生まれる
処理を共通化するために mixin に機能を切り出したはずなのに、気づかないうちにコンポーネントと mixin 間で依存関係が生まれてしまします。
例えば、日付をフォーマットするための mixin を考えます。
// mixins/dateUtils
export const dateUtils = {
computed: {
formatedDate() {
const date = new Date(this.date);
return date.toLocaleDateString();
},
},
};
<template>
<div>{{ formatedDate }}</div>
</template>
<script lang="ts">
import { dateUtils } from "@/mixins/dateUtils";
import Vue from "vue";
export default Vue.extend({
mixins: [dateUtils],
data() {
return {
date: "2021-09-05T09:01:00.093Z",
};
},
});
</script>
このような mixin は、コンポーネント側に特定の data やメソッドが定義されていることが前提として課されています。
上記例では、dateUtils
mixin を使用する場合は、data プロパティに date
が必ず定義されている必要があります。
このような状況ではコンポーネントと mixin 側どちらを変更しても壊れてしまします。
(Options APIの場合には)TypeScriptの恩恵を受けられない
この辺りはクラスコンポーネントを使えば解決できる問題なので、あまりモチベーションとしては大きくないですが、TypeScript とは基本相容れないです。
import { mixinA } from "@/mixins/mixinA";
import Vue from "vue";
export default Vue.extend({
mixins: [mixinA],
created() {
// Property 'hoge' does not exist on type 'CombinedVueInstance<Vue, unknown, unknown, unknown, Readonly<Record<never, any>>>'
this.hoge();
},
});
再利用可能な機能は純粋なJavaScriptで行う
それじゃあ mixin を使わないで処理の共通化するにはどうするの、というと純粋な JavaScript として実装します。
さきほどの日付をフォーマットする処理をリファクタリングしてみます。
// helpers/dateHelpers
export const dateHelper = {
formatedDate(date: string | Date) {
const d = new Date(date);
return d.toLocaleDateString();
},
};
<template>
<div>{{ formatedDate }}</div>
</template>
<script lang="ts">
import Vue from "vue";
import { dateHelper } from "@/helpers/dateHelper";
export default Vue.extend({
data() {
return {
date: "2021-09-05T09:01:00.093Z",
};
},
computed: {
formatedDate(): string {
return dateHelper.format(this.date);
},
},
});
</script>
これだけで mixin の抱える問題のもろもろをすべて解決できます。 ライフサイクルフックを mixin で記述しているような場合でも、ライフサイクルフックの内部のロジックだけを抜き出して各コンポーネントでライフサイクルフックを呼び出すようにします。
また this
の値をメソッドの中で使っていたのを引数から受け取るように変えたのでユニットテストも書きやすくなっています。
フレームワークに依存しないで処理を書けるようになっているので、一石三鳥といったところでしょうか?
私にはどうしても mixin を使わなければ実装できないような処理が思いつかなかったので、なにかあれば教えてください。