Vite だと require() が使えないよ〜
皆様はすでにプロジェクトに Vite は導入されていらっしゃいますでしょうか?私はできていません。 Vite はフロントエンドのビルディングツールであり、従来の Webpack 等と比較して高速に動作するといった特徴があります。Vue.js を開発した Evan You 氏によって開発ツールではありますが Vue.js に限らず React や Svelte にも対応しています。
皆様はすでにプロジェクトに Vite は導入されていらっしゃいますでしょうか?私はできていません。
Vite はフロントエンドのビルディングツールであり、従来の Webpack などと比較して高速に動作するといった特徴があります。Vue.js を開発した Evan You 氏によって開発ツールではありますが Vue.js に限らず React や Svelte にも対応しています。
Vue.js は 3.x しかサポートをしていないのですが Vue 2.x 向けのプラグイン をしようすれば Vue CLI 環境に開発ビルド時にのみ Vite を使用するといったことも可能になります。
しかし、Vite はビルドの高速化のためにNative ES Modules を使用しているといった事情もあり Webpack からの移行にはひと手間かかります。
Webpack と比較したときに変更する必要がある機能について見てみましょう。
require() が使えない
記事のタイトルにもありますとおり、まず大きな特徴として require()
によるモジュールの読み込みができないという点があります。「require
は未定義です」(Uncaught ReferenceError: require is not defined
)という JavaScript のおなじみのエラーが発生します。
エラーの原因は単純明快で require
はブラウザには存在しないためです。
require()
関数と module.exports
オブジェクトは CommonJS による仕様です。CommonJS とはブラウザ外における JavaScript(つまり Node.js など)のモジュールシステムの仕様を策定することを目的としたプロジェクトです。「ブラウザ外における JavaScript」とはっきり書かれているとおり、当然ブラウザはこの仕様には従わないのでブラウザには require
は定義されていないというわけです。
さて、前述のとおり Vite は Native ES Moduels によって動作しています。Native ES Modules とは ECMAScript の仕様として定義されたモジュールであり、普段からよく使われている import
と export
を用いたやつです。
Native ES Modules の Native は何を意味するかといえば、バンドルツールを介さずに直接ブラウザで import
文が使えるということです。<script>
タグに type="module"
を含めることでそのスクリプトがモジュールであることを宣言します。
<script type="module">
/* ここに JavaScript モジュールコード */
</script>
上記の ES Modules は初めからブラウザで利用できるわけではありませんでした。そのため従来のバンドルツールは import
構文をブラウザで利用可能にするためには一度 Node.js 環境で 1 つのファイルに「バンドル」された後に実行されるという仕組みになっていました、このバンドルにかかる時間が開発サーバーの起動のボトルネックとなっていました。
Vite ではこのバンドルの手間を防ぐために Native ES Moduels を使用しているので基本的にブラウザのみで実行されます。そのため「ブラウザ外における JavaScript」のための仕様である require()
は Vite において使用できないというわけです。
その他 Nagive ES Modules については以下記事が詳しいです。
require を import に置き換える
というわけで Vite では require()
を使うことができないので適切に import
に置き換える必要があります。
Static import
まず require()
がトップレベルで使われているのであれば単純に import
に置き換えるだけでよいです。どちらの構文も同期的にモジュールを読み込みます。
- const lodash = require('lodash')
+ import loadsh from 'lodash'
上記のようにトップレベルで実行される静的な improt
は Static import と呼ばれます。
Dynamic import
少々ややこしいのは require()
が if
や関数内などのブロック内で使用されている場合です。前述の Static import はトップレベルのスコープでしか使えないという制限があります。
const someFunc = () => {
// An import declaration can only be used in a namespace or module.
import lodash from 'lodash'
}
if
文の中で require
を使わざるを得ない状況として例えば msw のような例があります。
// src/main.ts
import { createApp } from "vue";
import App from "./App.vue";
if (process.env.NODE_ENV === "development") {
const { worker } = require("@/mocks/browser");
worker.start();
}
createApp(App).mount("#app");
トップレベルで ./mocks/browser
のモジュールを読みこんでしまうと本番環境においても msw
のコードが入り込んでしまうため、現在の環境に応じで条件付きでモジュールを読み込むことを推奨しています。
さて、Static import ではそのまま置き換えることができないのでこのような状況では Dynamic import を使用する必要があります。Dynamic import は import
を関数としてどこからでも呼び出すことができます。
ただし、1 つ重要な点として require()
は常に同期的に読み込むのに対して import()
関数は非同期で読み込む - Promiseを返す といった違いがあります。
これは ES Modules がサーバーサイドだけでなくブラウザにも使われることを考えてこのような仕様となっています。
つまり、上記の require
を使ったコードは単純に import()
関数に置き換えることができません。
import { createApp } from "vue";
import App from "./App.vue";
if (process.env.NODE_ENV === "development") {
// Property 'worker' does not exist on type 'Promise<typeof import("src/mocks/browser")>'.
const { worker } = import("@/mocks/browser");
worker.start();
}
createApp(App).mount("#app");
下記のように async/await
を使用したコードに置き換える必要があります。
import { createApp } from "vue";
import App from "./App.vue";
const setup = async () => {
if (import.meta.env.DEV) {
const { worker } = await import("@/mocks/browser");
worker.start();
}
};
// setup が完了した後にアプリケーションをマウントする必要がある。
setup().then(() => createApp(App).mount("#app"));
.cjs 拡張子
基本的には require()
や module.exports
を import
と export
に置き換えればよいわけなのですが、 .eslintrc.js
や jest.config.js
のように依然として CommonJS を使用しなければいけないファイルも存在します。
理由は単純に ESLint や Jest は Node.js 環境で実行されるためです。
このように Vite プロジェクトにおいても CommonJS の構文を使用しているファイルは拡張子を .cjs
とすることが推奨されます。
拡張子が .cjs
のものは CommonJS として、.mjs
のものは ES Modules として扱うことを明示的に示しています。
また拡張子が .js
のものは package.json
の type
の記述によって扱いが異なります。type: "module"
を指定している場合には ES Modules として扱われ、commonjs
または記述しない場合には CommonJS として扱われます。
import.meta.env による環境変数の読み込み
Vite がブラウザのみで動作するということは、process.env
により .env
ファイルから環境変数を読み込むこともできなくなります。process もまた Node.js のみに存在するオブジェクトです。
Vite において環境変数を利用するには import.meta.env
を使います。import.meta.env
はビルドイン変数として以下を公開しています。
import.meta.env.MODE
: {string} アプリが動作しているモード。import.meta.env.BASE_URL
: {string} アプリが配信されているベース URL。これは base 設定オプションによって決まります。import.meta.env.PROD
: {boolean} アプリがプロダクションで動作しているかどうか。import.meta.env.DEV
: {boolean} アプリが開発で動作しているかどうか(常に - -import.meta.env.PROD
の逆)
import.meta
は ES2020 で策定されたモジュールのメタ情報を取得するための機能です。これは ES Moduels 内のみで使用できます。
https://qiita.com/uhyo/items/7b00ad577618554d3276 https://numb86-tech.hatenablog.com/entry/2020/08/08/232535
また Vite は dotenv によって .env
ファイルに定義された環境変数を読み取ります。
この環境変数は VITE_
のプレフィックスで始まる変数のみが公開されます。
VITE_SOME_SECRET=XXX
TypeScript のおいて import.meta.env
のインテリセンスを効かせるようにするためには src
ディレクトリ配下に env.d.ts
ファイルを作成します。
/// <reference types="vite/client" />
interface ImportMetaEnv {
readonly VITE_SOME_SECRET: string
}
interface ImportMeta {
readonly env: ImportMetaEnv
}