Playwright でコンポーネントテスト

PlaywrightCypress Puppeteer と並ぶ E2E テストのための Node.js フレームワークです。Chromium・Chrome・Edge・Firefox・Webkit (Safari)と多くのブラウザに対応しているという特徴があります。

そんな Playwright ですが v1.22.0 から React,Vue.js,Svelte のコンポーネントに対してテストを実行できるようになりました。つまりもともと備えていた E2E レベルのテストに加えて、結合レベルのテストまでカバーできるようになったということです。

Playwright のコンポーネントテスティングの特徴と使い方を見ていきましょう。

Playwright でテストを書くメリット

現状フロントエンドにおいて、コンポーネントテスティングを実施する際に使用されるフレームワークとして Testing Library が大きな地位を占めています。Testing Library は実際に対象のコンポーネントをユーザーが操作しているようなテストを書くことができるのが特徴で、例えばフォームの要素を取得するためにラベルを使うなど、アクセシブルな要素の取得方法を推奨しています。

Tesing Library と比較してあげられる Playwright のメリットとして、実際のブラウザ上でコンポーネントテストを実行できるという点があります。通常 Testing Library は Node.js 上で実行されており jsdom により DOM を再現しています。

Playwright は実際のブラウザを外から操作するため、jsdom では発見できないブラウザ特有の問題を自動テストで発見できるメリットがあります。また viewport の指定や prefers-colors-scheme のエミュレートも可能なので、例えばモバイルでのみ要素が表示されることをテストできます。

テストを書いてみる

Playwright のインストール

Playwright は React,Vue.js,Svelte で作成したプロジェクトに簡単に追加できます。試しに以下のコマンドで作成した React プロジェクトを使用します。

npx create-react-app my-app --template typescript

Playwright をインストールするために以下のコマンドを実行します。

npm init playwright@latest -- --ct

コマンドを実行すると以下のファイルが生成されます。

├── playwright
│   ├── index.html
│   └── index.ts
├── playwright-ct.config.ts

playwright/index.html

この html ファイルはテスト実行時にコンポーネントが描画するために使用されます。このファイルには必ず id="root" 属性を持つ要素を含める必要があります。このファイルはビルド時に使用される index.html ファイルと内容を合わせておくと良いでしょう。

playwright/index.ts

このファイルは playwright/index.html から呼び出され、src/main.ts ファイルのようにスタイルシートを呼び出したりスクリプトを実行するために使用されます。

playwright-ct.config.ts

playwright の設定 を記述します。

簡単なテストを書いてみる

それでは playwright のインストールも済みましたので、簡単なコンポーネントのテストを実行してみましょう。次のようなカウンターアプリをテストの対象とします。ボタンを押すと表示されるカウントが 1 つづつ増えていくものです。さらに「You clicked {count} times」という文字は PC のみに表示しモバイル画面で表示したときには「{count}」だけ表示することとします。

// Counter.tsx
import React, { useState } from "react";
import "./Counter.css";

const Counter: React.FC = () => {
  const [count, setCount] = useState(0);

  return (
    <div>
      <p className="hidden md-block">You clicked {count} times</p>
      <p className="md-hidden">{count}</p>
      <button>Click me</button>
    </div>
  );
};

export default Counter;

テストファイルとして Counter.spec.tsx ファイルを作成します。

import { test, expect } from "@playwright/experimental-ct-react"; // ①
import Counter from "./Counter";

test("increments the counter", async ({ mount }) => {
  const component = await mount(<Counter />); // ②

  const button = component.locator('role=button[name="Click me"]');
  await button.click();

  const paragraph = component.locator("role=paragraph"); // ④

  expect(await paragraph.textContent()).toBe("You clicked 1 times"); // ⑤
});

@playwright/experimental-ct-react モジュールから testexpect をインポートします。testexpect はそれぞれ一般的なテストライブラリと同様の使い方です。

test メソッドの関数の引数では playwright の設定を受け取ります。この引数には mount メソッドが含まれているのでこれを使用してテスト対象のコンポーネントをマウントします。mount メソッドは Locator オブジェクトを返します。

componentlocator メソッドでボタン要素を取得します。locator メソッドはテキスト・CSS セレクタ・Accessible Name などを用いてマウントされたコンポーネント内に存在する要素を取得できます。④要素の取得後は click メソッドでボタンクリックを再現します。

ボタンクリック後テキストが変化しているはずなので④ paragraph ロールを取得してその中のテキストが「You clicked 1 times」に変化していることを検査します。

それではテストを実行してみましょう。以下コマンドを実行します。

npm run test-ct

デフォルトでは chromiumfirefoxwebkit の 3 つのブラウザそれぞれテストが実行されます。結果を見てみるとテストが失敗していることがわかります。

  1) [chromium] › src/Counter.spec.tsx:4:1 › increments the counter ================================

    Error: expect(received).toBe(expected) // Object.is equality

    Expected: "You clicked 1 times"
    Received: "You clicked 0 times"

      10 |   const paragraph = component.locator("role=paragraph");
      11 |
    > 12 |   expect(await paragraph.textContent()).toBe("You clicked 1 times");
         |                                         ^
      13 | });
      14 |

テストが 1 つでも失敗すると、レポートがブラウザで表示されます。

スクリーンショット 2022-05-22 23.01.11

項目をクリックするとテストの詳細が表示されます。

スクリーンショット 2022-05-22 23.04.34

テストの詳細を見るに、ボタンクリック時の処理を実装し忘れているようです。以下のようにコンポーネントを修正しましょう。

- <button>Click me</button>
+ <button onClick={() => setCount((prev) => prev + 1)}>Click me</button>

再度テストを実行すると、すべてのテストがパスするはずです。

Viewport に関するテストを書く

Playwright の設定をテストごとに上書きすることで、テストごとにブラウザの状態を変更してテストを実行できます。

設定を上書きするにはテストファイルのルートレベルまたは test.describe ブロックないで test.use() メソッドを呼び出します。

下記例はテスト時の viewport を変更して実行しています。

test.describe("mobie devices", () => {
  test.use({
    viewport: {
      width: 320,
      height: 480,
    },
  });
  test("increments the counter", async ({ mount }) => {
    const component = await mount(<Counter />);

    const button = component.locator('role=button[name="Click me"]');
    await button.click();

    const paragraph = component.locator("role=paragraph");

    expect(await paragraph.textContent()).toBe("1");
  });
});

Contributors

> GitHub で修正を提案する
この記事をシェアする
Twitterで共有
Hatena

関連記事